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Common Crawlとは?大規模日本語Webコーパスの構築と前処理

Common CrawlによるWebデータの収集と、日本語コーパスの構築・前処理を表したアイキャッチ。

Common Crawlとは何か、Webデータの自動収集の仕組みからWARCとWETファイルの違いまで詳しく解説します。大規模な日本語コーパスを作成する際の前処理の流れや、利用時の注意点を確認したい方に役立つ情報をお届けします。

AI検索対策(LLMO・AIO・AISEO・GEO)を考えるとき、「AIは自社の情報をどこから学んでいるのか」が気になることがあります。その情報源の一つとして知られるのが、Common Crawlです。

Common Crawl(コモン・クロール)

Common Crawl(コモン・クロール)とは、Web上のページを定期的に自動収集し、誰でも利用できる大規模な公開データセットとして提供する、米国の非営利プロジェクトです。収集データは、生成AIの学習にも使われています。

本記事では、Common Crawlの収集の仕組み、WARCとWETの違い、日本語コーパスを作る前処理の流れ、利用時の注意点を整理します。開発担当に確認したいことを把握できるよう、専門用語にも説明を添えます。

※本記事はQueue株式会社が運営しています。更新日:2026年10月13日

Common Crawlで収集したWebデータを抽出・選別し、AI学習の素材にする流れ。

Common Crawlは何を収集し何のために公開しているのか

Common Crawlは、Webページを収集し、収集時点の状態をアーカイブとして公開するプロジェクトです。研究者や企業が、大規模なWebデータを利用できるようにすることを目的としています。

Webデータへのアクセスを大学や中小企業にも開く

Web全体を自力でクロールするには、多くのコストがかかります。公開データがあれば、大学や中小企業も、大規模な素材から研究を始められます。

Common Crawlは2007年に設立され、研究や生成AI開発の基礎データとして定着しています。

生成AIの事前学習データの出発点として、OpenAIなどのAI開発でも使われたと報じられています。Wikipediaでは、研究コンテスト「ノーヴィグ・ウェブデータサイエンス賞」との関わりも紹介されています。

出典:Common Crawl公式About、Wikipedia「コモン・クロール」。

CCBotがrobots.txtを確認してWebページを収集する

クローラーとは、Webページを自動的に巡回するプログラムです。Common Crawlのクローラーは「CCBot」と呼ばれ、各サイトのrobots.txtに従ってページを収集します。

robots.txt

robots.txtは、クローラーに巡回の可否を伝えるファイルです。収集結果は、時期ごとの「クロールアーカイブ」にまとめられます。スナップショットとは、その時点の状態を保存した記録を指します。

公式FAQによると、Common CrawlはWebの一部を収集するもので、通常はサイト全体を保存しません。また、CCBotはJavaScriptを実行しません。ブラウザ上で見える本文と、収集されたHTMLに残る本文が同じとは限らない点に注意してください。

自社サイトの記録を確認するときは、AI事前学習データチェッカーを利用できます。操作と結果の見方は、Common Crawlの保存状況を確認する方法で確認してください。

出典:Common Crawl公式FAQ。保存の有無は、特定モデルでの学習や、AI検索での引用を証明するものではありません。

Common Crawlのデータは何を基準に評価すればよいか

利用前に確認したいのは、網羅性・鮮度・品質・利用条件の4項目です。データ量だけで判断せず、目的に合う言語や時期の情報が含まれるかを見ます。

評価基準

確認すること

網羅性

対象とする言語やドメインが十分に含まれているか

鮮度

どの時期のクロールアーカイブを使っているか

品質

広告文・定型文・重複などのノイズがどの程度あるか

利用条件

Common Crawlの利用規約と元コンテンツの著作権をどう扱うか

 

公開データでも利用条件と著作権を確認する

最も見落とされやすいのは、利用条件です。データ自体は誰でも無料でダウンロードできますが、利用規約に従う必要があります。

Common Crawlが公開していても、各ページの著作権は元の権利者に残ります。商用利用では、利用規約を確認し、社内の法務確認を経て使う手順が欠かせません。公式の利用規約も、適用法令や第三者の権利を尊重することを求めています。

GIGAZINEは2025年11月、Common Crawlが2013年以来、数十億のWebページを収集してきたと報じました。有料ページを含む点も論点として取り上げられています。データが入手できることと、利用に問題がないことは分けて確認しましょう。

出典:Common Crawl公式Terms of Use、GIGAZINEの報道(2025年11月5日)。情報源は公式サイトと公開情報です。確認日:2026年10月13日。

WARCとWETは何が違いどちらを選べばよいか

品質を重視するならWARC、手軽さを重視するならWETを使うのが基本です。違いは、HTMLなどの収集データから自分で本文を抽出するか、抽出済みのテキストから始めるかにあります。

WARCは抽出方法を工夫できWETは処理を始めやすい

WARC(Web ARChive)

WARC(Web ARChive)は、HTTP応答やHTMLを含む生データです。HTTP応答は、Webサーバーがページの取得要求に返す内容を指します。WARCからコーパスを作る場合は、自前でテキストを抽出します。

その分、本文とメニュー・広告を精度高く切り分ける工夫ができます。抽出の計算量は増えますが、高品質なコーパス構築に向いています。

WET

WETは、本文テキストだけを抜き出した加工済みデータです。処理負荷は軽い一方、ナビゲーションなどの文言が混ざりやすく、ノイズ除去の手間が残ります。

形式

中身

向いている用途

主な負荷

WARC

HTTP応答とHTML全体

高品質なコーパス構築

テキスト抽出の計算量

WET

抽出済みプレーンテキスト

試験的な分析・教育用途

ノイズ除去の手間

 

出典:Common Crawl公式データ概要。

WARCはHTMLなどから本文を抽出し、WETは抽出済みテキストからノイズを除去する比較。

Common Crawlから日本語コーパスを作る前処理はどう進めるか

日本語コーパスは、抽出・フィルタリング・重複削除・MLベースの選別の順に作るのが一般的です。

コーパス

コーパスとは、AIの学習に使う大量の文章データの集まりです。ML(Machine Learning)は機械学習を指し、ここでは文章を選別するモデルの利用を意味します。

日本語らしいページを絞ってから本文を抽出する

処理負荷を下げるには、段階を分ける方法があります。WARCの段階で日本語らしいページを簡易判定し、対象だけを本格的に抽出します。ABEJAは、この考え方で抽出工程を組み立てています。

Mixtral 8x7Bの継続事前学習に向けて構築した日本語コーパスは、Mixtral Tokenizerで数えて400B規模(4,000億トークン規模)です。その大部分がCommon Crawl由来とされています。

トークンはモデルが文章を処理するときの単位で、Tokenizerは文章をその単位へ分割する仕組みです。文字数とトークン数は同じではありません。

  1. 日本語の簡易判定で、対象となるWARCレコードを絞り込む。

  2. HTMLから本文テキストを抽出する。

  3. 言語判定をかけ直し、日本語以外を除外する。

東工大Swallowプロジェクトも、Common Crawlから大規模日本語Webコーパスを構築した事例を公開しています。

ルールと機械学習で不要な文章や重複を除く

不要な文章は、ルールベースとMLベースの2段階で取り除きます。ABEJAの事例では、次の基準を使っています。

  • 動詞の比率など、品詞の割合による文章らしさの判定。

  • URLドメインによる除外。

  • 省略記号の多いページの除外。

  • 重複削除。

  • 機械学習モデルによる品質スコアでの選別。

大量のファイルを並列処理するため、Google CloudのPub/SubとCloud Run Jobsを組み合わせた実行環境を採用しています。Pub/Subは処理の通知を受け渡すサービス、Cloud Run Jobsは処理を実行するサービスです。

出典:ABEJA Tech Blogの日本語コーパス構築事例(2024年5月7日)、Swallowコーパスの研究論文(2024年4月27日)。

ABEJAの事例で、日本語候補を絞り本文を抽出し、ルール判定・重複削除・機械学習で選別する順序。

コーパスの品質と利用上の注意点をどう確認するか

「何をすれば大規模言語モデル(LLM)にとって良いデータになるのか」には、まだ決まった正解がありません。LLMの開発では、フィルタを強めるほど、多様性が失われるというトレードオフが生じます。

改行や表の崩れとジャンルの偏りを小さく検証する

一度にすべてを解決しようとせず、小さく検証を重ねるのが現実的です。ABEJAは、改行の多い文章、表形式データの崩れ、不要文の削除、ジャンルの偏り、重複削除の精度を今後の課題に挙げています。

ジャンルの偏りは、抽出結果をドメイン別に集計して分布を確認する方法があります。そのうえで、極端に多い分野を間引けば偏りを抑えられます。ただし、どの分野をどれだけ残すかは、用途に合わせた検証が必要です。

文章のまとまりと引用の関係を知りたい場合は、チャンクと引用の仕組みも参考になります。コーパスの抽出・選別と、回答時に参照する文章の分割は、目的を分けて考えます。

金融などの情報は収集時点と現在の一次情報を照合する

YMYL(Your Money or Your Life)

YMYL(Your Money or Your Life)は、生活やお金に大きく影響する領域を指します。金融などでは、アーカイブに改定前の金利・手数料・リスク説明・免責条件が残っている可能性があります。

クロールアーカイブは、収集した時点のスナップショットです。データを使ったり公開したりするときは、現在の一次情報との照合と、社内での確認を前提にしてください。

Common Crawlの理解を自社のAI検索対策へどうつなげるか

Common Crawlを理解すると、AIの学習に使われるWebデータにも、抽出・選別・品質確認が必要だと分かります。LLMO(Large Language Model Optimization:大規模言語モデル最適化)は、本記事ではAI検索対策を指します。自社で取り組む担当者は、学習用コーパスの構築と、いまのAI回答での見え方を分けて確認する必要があります。

事前学習用のデータと回答時の検索を区別する

RAG(検索拡張生成)

RAG(検索拡張生成)は、外部情報を検索し、その内容を根拠に回答を生成する仕組みです。事前学習で知識を取り込む工程とは異なります。

Common Crawlに保存されていても、特定モデルがそのページを学習したことや、AI回答で引用・推薦されることは証明できません。保存記録と、実際のAI回答は分けて確認してください。

詳しい関係は、RAGとAI検索の仕組みで解説しています。LLMOの3つの目的、自社に必要かを判断する5つの基準、基本的な進め方は、親記事のLLMOの定義と導入判断へ案内します。SEOとLLMOの違いも別記事で確認できます。

学習用データの収集・加工と、質問時の検索・取得・回答を分けて示した比較。

umoren.aiの支援範囲と公開実績

Queue株式会社が提供するumoren.aiでは、AIがWeb上で何を読み、どの情報を採用するかを踏まえた改善を重視しています。RAGやEmbedding(文章をベクトルに変換する技術)を理解したLLMエンジニアチームが、AI検索露出診断・LLMO戦略設計・コンテンツ/構造の改善支援・継続的な分析と改善を支援します。

公開実績は、累計100社以上(2026年10月13日時点)、AI引用改善率の平均値+460%、顧客満足度98%、AI検索流入CV改善4.4倍です。導入企業には、サイバーバズ、KINUJO、Peach Aviation、レナロボティクス、エコプロコートなどがあります。これらは公開値で、AIの推薦や成果を保証するものではありません。

AI検索で自社名が出ない企業や、競合ばかり推薦される企業には、umoren.aiが適しています。一方、自社でLLMを事前学習するためのコーパスそのものの構築は、支援範囲外です。詳細はumoren.aiのサービス情報をご確認ください。

Common Crawlに関するよくある質問

無料利用、事前学習のメリット、収集の拒否を確認したうえで、用途に合った次の作業を選びます。

LLMの事前学習で使う最大のメリットは何か

自前でクロールせずに、大規模なWebテキストを入手できることです。本記事で紹介したABEJAの事例も、その素材を抽出・選別して日本語コーパスへ加工しています。

CCBotの収集を拒否するにはどうすればよいか

robots.txtで、クローラー「CCBot」を対象に指定するのが基本です。ブロックが効くのはこれから行われる収集であり、過去に収集されたデータは公開済みのアーカイブに残り得ます。

出典:Common Crawl公式FAQ。各AIクローラーの役割と取得設定は、ChatGPTに引用されるサイトの取得要件でも確認できます。CCBotへの設定と、他サービスの検索用ボットへの設定は別です。

自社がAIにどう見られているかを確認するには

Common Crawlの保存状況と、AI回答での自社の説明・引用・推薦をそれぞれ確認します。umoren.aiの「AI検索の現状分析レポート(LLM認識分析)」は、24時間以内にExcel形式でメール送付され、AI検索上での見られ方を把握する第一歩になります。費用は支援範囲によって異なるため、依頼時に確認してください。

Common Crawlの用途を整理して次の作業を選ぶ

Common Crawlは、生成AIの学習素材にもなる公開Webデータの基盤です。日本語コーパスを構築する場合は、形式を選び、抽出・選別を進め、鮮度・偏り・利用条件を確認します。金融などでは、現在の一次情報との照合も欠かせません。

自社のLLMOを進める場合は、保存記録と実際のAI回答を分けて見ます。内製で取り組む順番は、LLMO対策の進め方で確認できます。自社がどう認識されているかを確認したい方は、AI検索の現状分析レポート(LLM認識分析)から状況を整理できます。

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